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こんなWebディレクションは危ない という5つの例。

先日、制作させていただいたサイトでディレクションの失敗の典型のような事例がありました。

 

よくある新規Webサイト制作案件で、新規オープンする飲食店のお話です。

その新規オープンするお店の店長と、私の専門学校時代の友人が知り合いだったことから

友人がWeb制作を依頼され、そのデザイン及びコーディング作業が私のところに回ってきた、というものでした。

 

紹介した友人はWebディレクション、私は制作の役割ということになります。

 

こんなWebディレクションは危ない その①

間に1個挟んじゃってる。

クライアントからの直受けではなく、代理店や知人を通しての受注だとかなりリスクが上がります。

伝言ゲームではないですが、クライアント→外部ディレクター→制作 と流れるうちに話が変わってたりします。

さらに、案件によってはクライアント→制作間であったり制作→クライアント間の交流がなくなりますので

どちらもフラストレーションがたまっていきます。

 

こんなWebディレクションは危ない その②

納期が「●●が終わるまで」

この案件が新規店舗のオープンということもありオープン仕様の第1段階と完成仕様の第2段階に分けて制作することになりました。

ある段階ごとにわけて制作することはよくあることです。

第1段階は店舗オープンにあわせなければならずかなりタイトな納期だったのですが

第2段階は一向に終わりませんでした。というのも客先支給の素材が揃わないためでした。

クライアントは本業が忙しい場合がほとんどですので支給の素材がある場合はディレクターが必死で貰ってこなければなりません。

結局、友人はクライアントの機嫌を伺うばかりで素材をもらうことができませんでした。

そして「●●が終わるまで」は現状のサイトを更新し続けなければならず、その間更新料ももらえずという最悪の状態になっていきます。

 

こんなWebディレクションは危ない その③

クライアントのタイミング・心情に配慮できない。

以前の記事にも書きましたがクライアントにはWeb制作にうちこめるタイミングがありますし、盛り上がっているときにどんどん進行をしていくべきだと思います。

今回のディレクションではクライアントは店舗オープンまでは動きがよく盛り上がっていたものの

時間がたつにつれだんだん鎮火していき、最終的にWebサイトをこちらが作り続けていることに対しても気が回っていなかった感じでした。(それが④の最悪の結果につながります)

 

こんなWebディレクションは危ない その④

とどめの鶴の一声。

何ヶ月たっても、このサイトの支給素材が集まりませんでした。サイトのローンチからここまで制作し続けていたこちらの

工数やサーバー代のこともあり、新規サイト作成分だけでも料金を払ってもらうということになったのですが。(更新料に関してはこの時点で諦めていました。)

この時点になって、突然「オーナー」という店長の上の人がやってきて「私の思っているサイトとは違うから金は払わない」と言ってきたのです。

そうです、友人の知り合いの「店長」はただの雇われ店長だったのです。

オーナーには何の相談もなくすすめていたし、上記の③のように、この時点ではクライアント側の熱も冷め切っていましたので

我々がずっと制作していることも、第1段階でタイトな納期に対応していたことも「何ソレ?」って感じでした。

オーナーやクライアントにとって、もうこのWebサイトは500円のフラッシュメモリに入る「単なるデータ」でしかなくなっていたのです。

こうなってくると「金を払わない」もしくは「大幅な割引をもとめられる」という事態になるのは当然とも言えます。

 

実は私は「その②」くらいでこうなることが、ある程度予想できていました。

いや、というより受注前に分かっていたと言ってもいいでしょう。

それは、受注時にこんなことを言われたからです。

 

こんなWebディレクションは危ない その⑤

この案件が上手くいけば次を紹介してもらえるから

これはディレクターが制作(または営業や会社)に言う事ですが。

「だから今回は安くても我慢してね」っていうニュアンスですが、私の経験上、コレを言われて次を紹介してもらったことはありません。

 ああ、この人は私を「利用」したいんだなーと思います。

制作に対するリスペクトがあればまずこういう言葉がでてこないので、こういう言葉を言ってくる人には注意が必要です。

 

 

さて、結果「お金を払わない」とクライアントが言ってくるわけですが、このときのディレクションの対応はどうだったか。

もう、この時点でクライアントとの関係は終わっていますが、それでもこのディレクターは制作を続行してクライアントの機嫌をとるという決定をくだしました。

しかし、私はこれ以上つづけても意味はないと思ったので、ローンチまでの制作代はディレクターからもらい、それ以降はこのクライアントの仕事を受けないことにしました。更新料に関しては泣いたので完全な赤字ですが、このクライアントに付き合っていたらそれ以上に赤字が膨れることでしょう。

 

ディレクションに制作が口を出すのはよくないので、私はほとんどこれらのディレクションに口を出しませんでしたが

私だったら、最後にサーバー上のデータを全部消して、クライアントに問います。

「本当にこのWebサイトにはお金を払う価値がないのか」と。

それが一番クライアントの意識を問う方法だと思いますし。価値がないといわれれば、消したまま関係を終えます(大赤字ですが。)

 

Web制作はモノを作るのではないので、値段をたたかれがちです。お金を払わないと言われることもよくあります。

だからこそこういった断固たる態度がディレクターには必要だと思います。

「我々の作ったものには価値がある」「制作者の時間には価値がある」

そう思ってディレクションしていれば、こういう結果にはならなかったと、私は考えています。

 

 

 

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